東京都名誉都民 顕彰式
紋の光 撮影協力
江戸切子は日本を代表する伝統工芸品で、多くの方が一度は聞いたことがあるだろう。
しかし、江戸切子以外にも切子と呼ばれる器が多くある
ことはあまり知られていない。
これが、江戸切子と切子(カットグラス)とを分けるポイントです。
他にも江戸切子選びで失敗しないよう、知っておきたい5つのポイントをご紹介。
このページの内容を作品選びにお役立てください。
作品選びに失敗しないために、まずは江戸切子の魅力を知っていただきたい。
江戸切子は、素材にクリスタルガラスを、仕上げには専用の酸磨きを用いることで、作品の輝きを最大限に引き立てている。
光が当たる角度によっても表情を変える、キラキラとした煌めきは、江戸切子を初めて見た人でさへとりこにしてしまう程の美しさ。
その素材に、業界で初めて、瑞宝単光章を受章した職人が、菊つなぎ紋や籠目紋といった伝統紋様を熟練の技で1つ1つ丹念にカットしていく。
菊つなぎ紋や籠目紋は、線がとても細かくカットに高い集中力と技術を要するが、出来上がりの美しさは群を抜いており、江戸切子の魅力を引き立てるのである。
さらに、江戸切子には職人の遊び心によって生まれる、隠れた魅力がある事をご存知だろうか?
作品の口元や、玉と呼ばれる丸い窪みを覗くと、向かいの紋様が写し出される。その紋様が光の屈折によって万華鏡の様に広がり、隠れた紋様を生み出す。
屈折による美しさはあまり知られていないが、江戸切子にはなくてはならない魅力の一つである。
江戸切子の煌めきを際立たせるには素材選びが重要。
中でもクリスタルガラスは透明度が高く宝石のような煌めきは格別。
ずっしりとした重厚感、氷が溶けた時のカランという音、クリスタルガラスが江戸切子の魅力をさらに高めてくれる。
江戸切子の質にも大きく関係する素材に、ガラス職人が作った物を使用。手作りのため品質の良い物を安定的に仕入れるのは大変難しいが、ガラス職人と何度もやりとりを重ねることで、高品質の素材を仕入れることができるようになった。
また最終工程である磨きは作品の煌めきに大きく関係し、常に技術の追求が続けられてきた。その結果、伝承の手磨きに加え新たに酸磨きという方法が開発された。
酸磨きは作品をくまなく磨けるため仕上がりが美しく作品の煌めきを最大限引き立てる反面、稀に色が落ちてしまうという欠点がある。
色落ちによって価値がなくなるリスクを冒してまでも、多くの作品に酸磨きを用いる背景には煌めきに対する職人の強い想いがあるのだ。
※当店は主に、職人の厳しい目に合格したクリスタル素材の江戸切子を扱っています。
伝統紋様の繊細さも江戸切子の魅力である。
細かい線と線の交わりによって描かれる伝統紋様は日本古来のデザイン美と、代々伝わってきた技術の繊細さを感じさせてくれる。
江戸切子の代表的な紋様に菊つなぎ紋、籠目紋がある。これらの紋様は、非常に繊細で、そこから生み出される煌めきは群を抜いているが、カットには高い技術と集中力が要求される。そのため、完成までに多くの時間がかかり熟練の職人でも一日に数個作るのが限界だ。
職人は500種類以上の中から道具を選び、素材の微妙な違いに応じて、自らの経験と勘のみを頼りに紋様を刻んでいくのである。
作品をご覧になる時には、紋様に刻まれた職人の情熱を一緒に感じ取っていただきたい。
江戸切子の煌めきや伝統紋様には見る人を魅了する力がある。
それは光の屈折により表れる煌めきと、伝統紋様の美しさである。
江戸切子の口元や深くカットされた部分をよく見ると反対側の紋様が映っているのが分かる。
それはガラスを通り屈折した光が見せる虚像。しかし、虚像ではあるが万華鏡を覗いたように広がる紋様の美しさは本来の紋様にも劣らないほどだ。
作品に込められた職人の遊び心を見つけた時、江戸切子の隠れた美に触れることができるだろう。
煌めき・伝統紋様・遊び心、江戸切子の魅力を知っていれば自信を持って作品の目利きができるだろう。
江戸切子・・・
それは単なるガラスの器ではなく、
紋様を自在に操る「技」と、煌めきを追求した「情熱」の結晶だ。
その想いが伝わった上で、作品が喜ばれる。
職人にとってこれ以上の幸せはない。